短いけど、原稿中の息抜きー。
Kたんからの宿題、解答編です。
この先腐女子でないお嬢様、「朝.菊」って言葉を知らないお嬢様、たぬきに酷似した人間は逃げてください。
また、読んでからの苦情はご勘弁くださいー。
朝が頭わるい子ですよ。
オーケー?
『絶対領域ノススメ』
「菊!!」
がしゃんばたん、と玄関が悲鳴を上げる音と、アルトの絶叫が本田宅の平和な午後にやってきた。
「こんにちは、アーサーさん。今日はどうしたんですか」
息が荒い来訪者、アーサー・カークランドに、この家の主人、本田菊はゆったりと微笑んだ。
西洋の友人達の訪れはたいがい慌ただしく、
その度にスライド式の玄関や自分の平穏が被害をこうむるのにもすっかり慣れてしまった。
「…菊」
よほど急いできたのか、アーサーはそれ以上は口にできない。
だが、代わりにその翠の両眼が変な熱で菊の身体を、そう、検分しているような…?
しばらくするとアーサーは、「なんだよ~…」と脱力してたたきに倒れこんだ。
「本当にどうしたんですか?」
その尋常じゃない様子に心配になってきた菊は、アーサーの肩に手を置く。
「っ…、フランシス、が」
「フランシスさんが?」
「菊がっ、ミニスカートで…太ももを他の奴らに見せてるって!」
「…はああ?」
根も葉もない、と思いかけ、菊はちらりと先月のあるフェスティバルのことを思い出した。
いや、それでも最近スカートをはくようなコスプレはしていないはず。
「どういうことです、アーサーさん」
とにかくもっと情報を、と玄関にしゃがみこんだ菊に、アーサーは顔を上げた。
その翠が濡れているのは、泣いているのに間違いない。
「フランシスが、菊の『ゼッタイリョウイキ』がどうの、って!
見せつけられた肌に興奮する、って!
菊、なぁ菊、なんで俺には見せてくんないのにあいつにはっ、…ばかぁ!」
頭を揺らしながら泣き出す成人男性と、その訴え。
「…アーサーさん、『絶対領域』なんて言葉、ご存知だったんですね」
「うぅっ…ぐす、わかんなかったから、検索した。ミニスカと靴下の間の太ももの事なんだろ…?」
「間違ってはいないですが、正解でもありません。たとえばアーサーさんのここもそう言います」
菊はそっと人さし指で、アーサーの手袋と袖口のすきまからのぞく手首を押した。
「ちまたでは大変な萌えポイントだと評判ですよ」
「ちまたってどこだ」
「さて、話はわかりました」
菊は立ち上がり、自然アーサーを見下ろす形になった。
「おい、ちまたって」
「おそらくフランシスさんがおっしゃってたのは、先日出したCDジャケットの表紙の事でしょう。
はかまと足袋の間のね。
自分には萌えませんが、そこに気づくとはさすがフランシスさん」
拳を握りながら語る菊のセリフに、ようやくアーサーも自分の勘違いに気づいたらしい。
まつ毛をぱちぱち上下させ、放心したように目の前の和装美人を見つめていた。
「じゃ、じゃあ」
「なんです?」
「菊は別に、メイドプレイがしたいわけじゃないんだな…?」
そう言いながら、どこからかフレンチメイドの衣装を取り出したアーサー。
「…確かにそれもテンプレですが」
なるほど、それが本当の用件か。
恐るべきは、ネットの海。
菊は艶かしく微笑し、アーサーはその笑みに見惚れ、
「帰れ。」
本田宅を追い出されるのだった。
本日の滞在時間、六分二十三秒。
おしまい。
くだらなくてすみません…!

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